基礎から学ぶ制御工学-24
基礎から学ぶ制御工学
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5.5.2 ラウスの安定判別法
システムの安定、不安定を調べるために、分母多項式を因数分解するなどして、解を求めることは、次数が高くなると困難となってきます。このため、安定判別を比較的簡単に求める方法として、ラウスの安定判別法とフルビッツの安定判別法を説明します。
まず、ラウスの安定判別法について説明します。伝達関数を次式のようにします。
$G(s)=\dfrac{1}{s^5+2s^4+4s^3+5s^2+3s+2}$・・・(5.5.5)
この伝達関数の分母多項式に注目します。
(1)条件1
分母多項式の係数が全て正である。
(2)条件2
次に示すラウス数列が全て正である。
という、条件1、条件2が成立すると、安定であることの必要条件となる。(全ての場合において安定であるわけではない。)
ラウス表の行に同じ正の数をかけても、結果は変わらないので、これを用いて、分母をはらいます。
①$s^5$の行に1,4,3、$s^4$の行に2,5,2を配置します。
②$s^3$の計算には$s^4$の行のラウス数列の2を基点に考えます。2を分母にして、2×4-1×5=3を計算します。
次に、2列目の計算も、ラウス数列の2を基点に2を分母にして、2×3-1×2=4を計算します。
③行に同じ正の数をかけても結果は変わらないので、分母の2を同じ行にかけて、1列目を3、2列目を4とします。
④同様に$s^3$~$s^0$まで計算します。ここで、空白の箇所は0とします。
⑤1列目のラウス数列が全て正となることが分かります。
よって、条件1、条件2より、この伝達関数は安定であることが分かります。