基礎から学ぶ高校物理(力学編)-19
基礎から学ぶ 高校物理 (力学)
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1章 物体の運動
1-3 落体の運動 問題3
(1)ビルの高さが$78.4[m]$であった。この高さから水平に速さ$5.0[m/s]$で物体$A$を投げたとき,次の問いに答えなさい。ただし,重力加速度$g=9.8[m/s^2]$とする。
①物体Aが地上に到達するまでの時間を求めなさい。
②地面に到達したときの速さを求めなさい。
③物体Aが地面に到達したとき,ビルからの水平距離を求めなさい。
①物体Aが地上に到達するまでの時間を求めなさい。
水平投射なので、鉛直下向きの方向は自由落下となる。このため、下向きを正とする。
ビルの高さが$78.4[m]$なので、
$x=x_0+v_0 t+\dfrac{1}{2} g t^2$より
$78.4=\dfrac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$
$78.4=4.9 t^2$
$16.0= t^2$
$t=4[s] (t \gt 0)$
②地面に到達したときの速さを求めなさい。
鉛直下向きの方向の速度$v_{y}$は
$v_y=v_{y0}+g t$
$v_y=9.8 \times 4=39.2[m/s]$
また、水平方向の速度は$v_x=5.0[m/s]$より
$v=\sqrt{v_x^2+v_y^2}=\sqrt{5.0^2+39.2^2} \fallingdotseq 39.5[m/s]$
③物体Aが地面に到達したとき,ビルからの水平距離を求めなさい。
水平方向は等速度運動なので、
$5.0 \times 5=25[m]$
(2) 地上$0[m]$の地点から、角度$30^{\circ}$、初速度$39.2[m/s]$で、ボールを打った。このとき次の問いに答えなさい。ただし,重力加速度$g=9.8[m/s^2]$とする。
①ボールが最高点に達したときの,元の高さからの高さ,時間,速さを求めなさい。
②ボールが元の高さに到達する時間を求めなさい。
③ボールを打ってから元の高さに到達するまでの水平距離を求めなさい。
④元の高さに到達したときの速さを求めなさい。
斜方投射の問題である。このため、上方向を正とする。
①ボールが最高点に達したときの,元の高さからの高さ,時間,速さを求めなさい。
角度$30^{\circ}$、初速度$39.2[m/s]$で、ボールを打ったので、
上方向の速度は$v_y=39.2 \times \sin 30^{\circ}=19.6[m/s]$
横方向の速度は$v_x=39.2 \times \cos 30^{\circ} \fallingdotseq 33.9[m/s]$
ボールが最高点に達したときの上方向の速度は$0[m/s]$なので、
$v_y=v_{y0}-g t$
$0=19.6-9.8 \times t$
$t=2.0[s]$
このときの高さは
$y=y_0+v_{y0} t-\dfrac{1}{2} g t^2$
$y=19.6 \times 2 -\dfrac{1}{2} \times 9.8 \times 2^2=39.2-19.6=19.6[m]$
このときの速さは、横方向だけなので、$33.9[m/s]$
②ボールが元の高さに到達する時間を求めなさい。
ボールが元の高さに到達する時間は、最高点に達する時間の2倍になるので$4[s]$
計算すると
$y=y_0+v_{y0} t-\dfrac{1}{2} g t^2$より
$0=19.6 t -\dfrac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$
$0=4 t -t^2$
$0=(4 -t)t$
$t=0,4$
よって、元の高さに到達する時間は$4[s]$
③ボールを打ってから元の高さに到達するまでの水平距離を求めなさい。
元の高さに到達する時間は$4[s]$より、横向きの速度は$v_x=33.9[m/s]$より
$33.9 \times 4=135.6[m]$
④元の高さに到達したときの速さを求めなさい。
上下方向の速度は,上向きを正とすると$v_y=-19.6[m/s]$
下向きの速度は$v_x=33.9[m/s]$
よって、速度の大きさは
$v=\sqrt{v_x^2+v_y^2}=\sqrt{(-19.6)^2+33.9^2}=39.2[m/s]$
よって、速さは$39.2[m/s]$(で、下向き$30^{\circ}$)となる。