基礎から学ぶ制御工学-21
基礎から学ぶ制御工学
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5.伝達関数
5.1 伝達関数
システムを数式モデルで表現し、これをラプラス変換することによって、比較的容易に扱えるようになります。このラプラス変換した数式モデルの入出力関係を図のように表したものを伝達関数と呼びます。
これを、式で表すと、入出力と伝達関数の関係は次のように表されます。
・・・(5.1.1)
伝達関数を一般的な式で表すと、次式のように表されます。
ここで、分母多項式の次数を、システムの次数と呼び、分母多項式の次数がn次の場合、$n$次システムや$n$次遅れシステムと呼びます。現実のシステムでは分子の次数より分母の次数が高く、このようなシステムはプロパーと呼びます。$ n \gt m $のとき厳密にプロパー、$ n \geqq m $のときプロパーであるといいます。
式(5.1.2)で示す分母多項式=0としたときの解を「極(きょく、pole)」と呼びます。
・・・(5.1.2)
この極の値によって、伝達関数の応答がわかります。
極の実部の大きさが、収束や発散に影響を与え、虚部の大きさが、振動の周期に影響を与えます。また、分子の多項式=0としたときの解を零点と呼びます。
・・・(5.1.3)