GO-AHEADの日記

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基礎から学ぶ制御工学-29

基礎から学ぶ制御工学

amazon kindleを出版しました。


6.4 ボード線図の近似
(1)一次遅れ系のボード線図の直線近似

 1次遅れ系の伝達関数
$G(s)=\dfrac{K}{Ts+1}$

これを、周波数伝達関数にすると、
$G(j \omega)=\dfrac{K}{j \omega T+1}$・・・(6.2.13)

ゲインは大きさなので、絶対値をとると次式のように表されます。
$\vert G(j \omega) \vert=\vert \dfrac{K}{\sqrt{(j \omega T+1)(-j \omega T+1)}} \vert=\dfrac{K}{\sqrt{ (\omega T)^2+1}}$・・・(6.2.14)


位相遅れは、次式のように角度を求めます。
$\angle G(j \omega)=\angle \dfrac{K}{j \omega T+1}=\angle 1-j \omega T $・・・(6.2.15)

  一次遅れ系のボード線図から、周波数が小さいときは、0[dB]、周波数が大きいときは、10倍するごとに-20[dB]減少していくことが分かっている。また、位相曲線では折点周波数が-45°となり、-45°の傾きの直線を延長すると、折点周波数の0.2倍と5倍のところが、それぞれ0°と-90°となることが分かっている。そこで、一次遅れ系を、K=1として、次のように考えます。

①ωT≪1とき、
G(jω)=1とおける。よって、
ゲイン:20log|G(jω)|=0
位相:∠G(jω)=∠1=0°

②ωT≫1とき、
とおける。よって、
ゲイン:20log|G(jω)|=-20log|ωT|
位相:∠G(jω)=-∠j=90°

③ωT=1とき、(折点周波数のとき)
ゲイン:$20 \log |\dfrac{1}{j+1}|=20 \log \dfrac{1}{\sqrt{2}}=-10 \log 2 \fallingdotseq -3[dB]$
位相:$\angle G(j \omega)=\angle \dfrac{1}{j+1}=-45^{\circ}$

これら、①から③までのことを用いて、1次遅れ系のボード線図の近似をします。①を緑色の線、②を青色の線、赤色の線は①②の線を用いて、描いた近似曲線です。ゲイン曲線も位相曲線も、似た形状となり、ボード線図の近似ができていることが分かります。

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