GO-AHEADの日記

GO-AHEADで出版した書籍の紹介をします

基礎から学ぶ制御工学-26

基礎から学ぶ制御工学

amazon kindleを出版しました。


6.2 ベクトル軌跡

 周波数伝達関数は、$G(s)$を$G(j \omega )$にすることによって得られます。この周波数伝達関数の応答をグラフにする方法として、ベクトル軌跡とボード線図について説明します。まず、周波数伝達関数の応答をベクトル軌跡で表す方法について説明します。ベクトル軌跡で描く応答は、ベクトルの長さがゲインを表し、ベクトルの実軸からの角度が位相遅れを表しています。 

 (1)積分系-1
 積分系の伝達関数
$G(s)=\dfrac{1}{s}$・・・(6.2.1)

これを、周波数伝達関数にすると、
$G(j \omega)=\dfrac{1}{j \omega}$・・・(6.2.2)

ゲインは大きさなので、絶対値をとると次式のように表されます。
$\vert G(j \omega) \vert=\vert \dfrac{1}{j \omega} \vert=\dfrac{1}{ \omega}$・・・(6.2.3)


位相遅れは、次式のように角度を求めます。
$\angle G(j \omega)=\angle \dfrac{1}{j \omega}=\angle -j$・・・(6.2.4)
角度に大きさは関係ないので、$\omega$を消去すると、$-j$となり、複素平面上では常に-90°となります。

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図6.1.1に示すように、位相遅れは常に-90°で、$\omega$が無限大になると、ゲインは0に近づき、$\omega$が0になると、ゲインは無限大になります。