GO-AHEADの日記

GO-AHEADで出版した書籍の紹介をします

基礎から学ぶ高校物理(力学編)-11

基礎から学ぶ 高校物理 (力学)

amazon kindleを出版しました。


1章 物体の運動

1-3 落体の運動
 落体の運動というちょっと難しいような表現をしていますが,(1)~(3)式を用いることにより多くの問題は解くことが出来ます。

 初速度$v_0[m/s]$,速度$v[m/s]$,加速度$a[m/s^2]$,時刻$t[s]$としたとき,速度は次式となります。
$v=v_0+at$  ・・・(1)

 初期位置$x_0[m]$とすると,変位$x[m]$は次式で表されます。
$x=x_0+v_0 t+\dfrac{1}{2} a t^2$  ・・・(2)

 初期位置として,式(1),(2)より$t$を消去すると
$v^2-v_0^2= 2 ax $  ・・・(3)

 

(3)鉛直投げ上げ
 鉛直投げ上げは上向きが正です。向きに注意しましょう。このため,式(1)~式(3)の加速度を$a=-g$とし,初速度$v_0 [m/s]$,初期位置$x_0=0 [m]$として式を書き直すと,次式のようになります。
$v=v_0-gt$
$x=v_0 t-\dfrac{1}{2} g t^2$
 重力加速度は$g=9.8[m/s^2]$で計算します。

(2)の鉛直投げ下げと加速度の向きが違うだけで基本的には同じです。

 

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計算例
 物体を上向きに初速度$19.6[m/s]$投げたとき次の値を求めなさい。
ただし,重力加速度は$g=9.8[m/s^2]$とし,投げる位置は高さ$0[m]$とする。
①最大の高さとそのときの速度と時間
②元の位置に戻ったときの速度とそのときの時間

①最大の高さとそのときの速度,時間
 「最大の高さのとき,速度は0」となるので,$v=v_0-gt$より

$0=19.6-9.8 \times t$
よって,高さは,

$t=2[s]$

$x=19.6 \times 2 - \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times 2^2=39.2-19.6=19.6[m]$
最大高さ$19.6[m]$,速度$v=0[m/s]$,時間$2[s]$

 

②元の位置に戻ったときの速度とそのときの時間
元の位置に戻ったときの時間は,
 最高地点到達まで$2[s]$だったので,元の位置に戻るにはあと$2[s]$必要であるので,投げ上げてから$4[s]$で元の位置に戻ってくる。
 また,速度は等加速度運動なので,投げ上げたときの速度と逆向きの$v=-19.6[m/s]$となる。
 「投げ上げたときの速さと元の位置に戻ってきたときの速さは同じ」

計算で求めてみます。$x=v_0 t-\dfrac{1}{2} g t^2$から元の位置に戻るときは$0[m]$となるので

$0=19.6 \times t-\dfrac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$

$0=19.6 \times t-4.9 \times t^2$

$0=(4-t)t$

よって,$t=0,4$となる。よって,$4[s]$後に元の位置に戻る。
また,速度は$v=v_0-gt$に代入すると

$v=19.6-9.8 \times 4$

$v=-19.6[m/s]$


元の位置に戻ったときの速度は$v=-19.8[m/s]$とそのときの時間$4[s]$